
日本で暮らしていたら納豆を作ろうなんて思いもしなかった…
本記事では、海外生活中に納豆作りを極めた私が、あれこれ試行錯誤してもうまくいかなかった失敗談を交えながら、基本とはちょっと違った納豆の作り方を紹介します。



レシピどおり作ってるのに成功しない…
そんな風に悩んでいる方、ぜひ本記事を最後までご覧ください。きっと、その悩みを解決するヒントを見つけられます。
こんなお悩みを解決します
- これから海外生活予定で、海外で納豆を作りたい
- メーカーが紹介している方法で納豆を作っても、うまくいかない
- なんとなく仕上がるけど、成功とはいえない微妙なクオリティ…
- 発酵器なんて持ってないけれど、納豆づくりに挑戦してみたい
- 今してる納豆作りの手間をもっと減らしたい



海外生活者向けに発信していますが、納豆作りをしている人なら誰にとっても有益な情報がたっぷりニャ
1つ1つ、私の失敗談と考えられる原因、そして対策を丁寧にお話ししていきます。
\結論だけ知りたい方はこちら/
まずは基本の作り方を確認
まずはみなさん、納豆メーカーが推奨する作り方で作りますよね。もし「まだ作ってない」という人がいたら、一度は作り方を真似してみるのをお勧めします。
だってそれが基本で、正しい作り方なんだから。



それで美味しく出来ればラッキーだニャ
もし美味しく出来なかったら、どの工程に改善の余地があるのかを考えられます。



最初は自分でやってみるのが、一番理解が早いです
かわしま屋さんの納豆の作り方動画
この動画を文字に書き起こしました。時間の無い方はこちらを一読してください。この作り方を軸にして、今後のお話しを展開していきます。
- 大豆を洗う(今回は大豆165g)
- 大豆表面に付着している汚れを、皮が破れない程度にゴシゴシ擦り合わせて洗うのがコツ
- 大豆を(重量4倍の)水に浸ける
- 冬:24時間
- 春/秋:15時間
- 夏:6時間
- 大豆を煮る
- 圧力鍋を使う場合は圧がかかってから30分
- 普通の鍋は3~4時間程度
- 親指と薬指で簡単に潰れる程度の柔らかさ
- 納豆菌液を作る
- お湯10ccと納豆菌0.1gをよく混ぜる
- 煮えた大豆の煮汁を捨て、すぐに納豆菌液をかけて混ぜ合わせる
- 大豆の温度が下がると、微生物混入の可能性が高くなるので作業は素早く
- 大豆を保温する(ヨーグルティア使用)
- 納豆の発酵には酸素が必要なので、容器に蓋をしない
- 発酵すると水分を多く出すので、タオルをかけておくと良い
- 保温器で保温(45度で24時間)
- 発酵した納豆を一晩冷蔵庫で寝かせる
- 完成!
- 一週間程度で食感が劣化するため、長期保管する場合は冷凍庫がおすすめ
【工程表】かわしま屋さんの納豆の作り方を図式化してみました


失敗談・コツ紹介
納豆の基本的な作り方を知ったところで、次に私の失敗談や対策、作るときのコツをお話ししていきます。
最後にきちっと私流の工程表を図示してまとめていますので、頭が混乱しそうな方は、先に結論から読んでみてくださいね。
かわしま屋さんの作り方を否定しているのではありません。あくまでも私一個人の経験のため、正確さ・安全性を保障する内容ではありまん。
材料の調達
日本産の大豆と納豆菌を、日本で調達するのをお勧めします。
海外でも、アジアンスーパーや日本食材店で冷凍の納豆パックを購入することはできます。その納豆を種菌として新たな納豆を作ることもできなくはないと思います。でも長期保存された冷凍納豆は、納豆菌の力が弱い=失敗する可能性があります。
中国産の乾燥大豆なら、アジアンスーパーで安く入手可能です。
現地のアジアンスーパー私が購入した大豆のお話しです。
- 国産大豆より、アジアンスーパーの中国産大豆のほうが安い
- 国産に比べて、大豆表面に付着している汚れが多かった
- かなり念入りに洗ったせいか、茹でたときに皮むけが多かった
- 納豆の味は、国産となんら変わらない仕上がり
味は良いのですが、とにかく汚れが気になって仕方がなかったです。子どもに食べさせる納豆だったこともあり、安心できる国産無農薬大豆を選択しました。
納豆菌は、乾燥大豆と違って海外ではかなりレアアイテムです。普段の生活の中ではまずお目に掛かれないでしょう。
私は渡航前や一時帰国時に、かわしま屋さんの公式ショップで大豆やその他食品と共にまとめて注文していました。



小粒納豆派な我が家。
極小粒納豆「スズマル」で納豆を作った時が一番おいしく感じました。
大豆を洗う
洗いすぎ注意
大豆によって、皮のめくれやすさが違うような気がします。
ゴシゴシやりすぎて皮を傷つけてしまうと、茹でている時に皮だけが大量に浮いてきます。
普通の鍋で茹でる分には、皮がめくれることは作業工程において特に問題にはなりません。食感や見た目の問題程度です。
しかし、圧力鍋を使う場合は、この皮むけが惨事を引き起こす要因になります。(後述)
大豆を水に浸ける
かわしま屋さんが、浸水の目安時間を提示してくれていますので基本的にはそちらを参考にしてください。(夏6時間、冬24時間)
一方、私は季節問わず、いつでも一晩(時間はテキトー)です(笑)浸水が足りていないと茹で時間が長くなるくらいで、この浸水時間に関してそこまで気にしたことは無いです。
水の量も量っていません。多めの水を意識してはいますが、たまに、一晩明けると、吸水した大豆が水の上に顔を出していることもあります。ちょっとくらい水が少なくても気にしない。
浸水は軟水を使う
水の量より私が気にしていることは、軟水を使うことです。
海外のほとんどの国、特にヨーロッパは硬水エリアです。硬水で作る麦茶やみそ汁は不味いです。経験上、硬水は総じて和食には合いません。
納豆に硬水が適さないかどうかを調べたわけではありませんが、常に日本食を作るときは軟水を使うようにしています。納豆も然りです。
海外生活における軟水の入手方法や硬水のあれこれをここで論ずると話が脱線してしまうので、省きます。
大豆を煮る
私的に、この工程が納豆作りにおいて一番面倒だと感じます。
煮るときも、軟水を使う
ヨーロッパでは貴重な軟水。勿体ないので、浸水時の水をそのまま煮汁として使っています。
でも、浸水の水が汚れているなと思ったら、煮る用の軟水を新しく用意しています。
吹きこぼれ、注意
大豆を煮始めると、白いアクが大量に出ます。そして、大豆のむけた皮も浮いてきます。
普通の鍋で煮るときは吹きこぼれの原因になりますし、圧力鍋だと栓詰まりの原因になります。どちらの鍋で煮るにしろ、このアクと皮を最初にある程度取り除くと良いですよ。



吹きこぼれると灰汁がコンロ周りにこびりつくので、掃除が大変…
茹でるときは普通の鍋派
みなさんは大豆、何で煮ますか?圧力鍋?普通の鍋?
それぞれの特徴をまとめてみました。
- 茹で時間短縮(~1時間)
- 圧を抜かないと豆の硬さを確認できない→まだ硬い場合は二度手間に
- 大豆の皮が栓に詰まる可能性あり
- 暴発しない
- 豆の硬さを随時チェックできる
- 時間がかかる(3~4時間)
圧力鍋の最大のメリットはやっぱり時間短縮ですね。正直3時間も大豆に取られるのは嫌なので、茹で時間短縮は嬉しい。
私だけかもしれませんが、圧力鍋を使うと、剥けた皮が栓に詰まって暴発します。いろいろ工夫したんですが、皮が栓に詰まらないことがないです。
- 一定時間圧をかけずに茹でて、皮や悪を除去してから圧をかける
- 二度茹で(圧をかけずに茹でて、煮汁を捨てる→圧をかける)
- 重さのある落し蓋
- 弱火でゆっくり圧をかける
- 大豆の量を減らす
- 水の量を調節する
でもどれをやっても栓が詰まって暴発…なんでだろう。未だに答えが分かりません。



私はうまくできませんでしたが、圧力鍋で暴発させずに豆を煮る人はたくさんいます!
季節によって茹で時間が違う
茹でる時の火力や、大豆の浸水時間によっても変わりますが、キッチンの気温でも茹で時間が変わるような気がします。キッチンの気温30度の夏場と、8度の冬場では、夏の方が早く茹で上がります。
また、普通の鍋で煮る場合は、3~4時間煮ることになるので、水が減ってきたら差し水(軟水)を適宜しています。その際、お湯を注ぐほうが、豆の温度を保てるので、煮る時間が延びにくくなりますよ。
気持ち、柔らかめに茹でる
完成した納豆は、茹でた直後の大豆より硬く仕上がります。茹で時間を急くと、芯の残った美味しくない納豆になってしまうので、しっかり大豆が柔らかくなるまで煮ます。
納豆菌液を作る
納豆菌のタイプは液体と粉末の2種類ありますし、納豆菌によって使用量も異なります。ご自身の購入された納豆菌に目安量が書いてあるので、そちらを参考にしてください。
ちなみに私は、納豆菌も大豆と一緒にかわしま屋さんの公式ショップで購入しました。
使う納豆菌の量は、気持ち、目安量より多め
1回で使う納豆菌の量ってごく少量なので、秤で測れません。いつも目分量でやっています。
ただ、目安量より気持ち多めに使う方が、失敗しづらいです。
納豆菌液を作るお湯は、茹で汁
わざわざ湯冷ましを少量作るのが面倒くさいです(笑)
私は、大豆が茹で上がって水切りする前に、茹で汁をスプーンで適量取って納豆菌と混ぜています。
煮えた大豆の煮汁を捨て、すぐに納豆菌液をかけて混ぜ合わせる
納豆菌液を作らずに、茹で上がった大豆に直接納豆菌をかけて混ぜてみても、ちゃんと納豆ができました。でもこのやり方はムラができる原因になるので、おすすめはしないです。
大豆を保温する
納豆作りに慣れた今、面倒なのは茹でる工程です。でも納豆作りを始めたばかりの私が一番四苦八苦したのが、この保温の工程です。
長くなりますが、どうぞ私の珍プレー語りにお付き合いください。
\結論を知りたい方はこちら/
ヨーグルトメーカーで発酵したときのトラブル
かわしま屋さんは、ヨーグルティアで納豆を作っていましたね。
私も、日本でヨーグルトメーカーを購入しました。よくある、牛乳パックをそのまま使えるタイプ(参考リンク)。でもこれが良くなかったです。
問題1:海外の牛乳パックのサイズが日本と違う
私的に完全に盲点でした。持参したヨーグルトメーカーに合う容器を見つけるのに苦労しました。
海外で、ヨーグルトメーカーで、納豆作りをする場合は、牛乳パックタイプではなく、間口の広い内容器付きのヨーグルトメーカーをお勧めします。
かわしま屋さんが使っていた保温器(ヨーグルティア)
ヨーグルティアは牛乳パックそのまま使えるタイプよりお値段高めですが、ヨーグルト以外にもいろいろ発酵できる万能保温器です。



甘酒も楽に作れます!
問題2:納豆じゃない異臭がする
さて、話は戻って…ハイターで殺菌消毒した牛乳パックを使って、大豆を発酵させてみました。
大豆を保温してしばらくすると、納豆じゃない臭さが。殺菌しきれなかった紙パックから雑菌が繁殖したんでしょうね。全部廃棄しました。
紙パックをハイター液に浸けて良いの?という突っ込みは不要です。ダメだと思います。真似しちゃだめですよ。他に目ぼしい容器が無かったんです。
問題3:大豆の上層部しか納豆化しない
発酵には酸素が不可欠です。しかし、縦長のヨーグルトメーカーで納豆を作ると、上層部分にしか酸素が行かず、中下層部はどれだけ保温しても大豆のまま。全く糸をひきません。
問題4:大豆が潰れまくった
清潔で適当なサイズの容器が見つからないので、ジップロックで代用することに。全体に酸素を行き渡らせるため、発酵途中でたまにスプーンでかき混ぜました。
- 大豆が潰れまくって、ぐちゃぐちゃに
- また異臭…スプーンを消毒せずに使ってしまったためと思います
やはり、廃棄です。



間口の狭いヨーグルトメーカーじゃ納豆を作れない!ということで、代用できる保温器が無いか考えました
炊飯器を使ってみた
炊飯器にも保温機能があるので、試しに代用してみました。
納豆の発酵に適した温度は40度前後。ヨーグルティアでは45度設定が推奨されています。
炊飯器の保温温度を温度計で計測すると60度になったので、厚手のタオルを底に敷いて、保温中は上蓋全開放することに。それでなんとか50度程度に温度を下げることができました。
問題5:炊飯器で24時間保温しても、糸引きが弱い
間口の広さや温度はクリアしたと思ったんだけどなぁ。納豆作りって難しい。一難去ってまた一難。
考えられる原因と、私が取った解決策を紹介します。
- 酸素不足 ▶たまに混ぜて、中下層も酸素に触れさせる
- 納豆菌不足 ▶納豆菌を追加投入(直入れ)
- 発酵温度が適していない ▶保温時間延長(36時間)&追加タオルで底上げ



強くて伸びのある糸をたくさん引くようになりました!
発酵した納豆を冷蔵庫で寝かせる
ここまで長かったですね。みなさん、お付き合いありがとうございます。あと一つ、起こった問題をお話しさせてください。
問題6:旨味が無い
一晩冷蔵庫で寝かせてみました。納豆の匂いはするけれど、旨味がありません。
美味しくない。納豆臭いただの大豆を食べている感じ。なんで?
冷蔵庫に1日入れる事で納豆菌酵素の働きでダイズタンパクからアミノ酸が生成され、味が熟れて風味が増します。
納豆の作り方|初めてでも簡単|かわしま屋【わかりやすい動画付き】 -Well Being[ウェルビーイング] (kawashima-ya.jp)



寝かせることで、アミノ酸(旨味)が出てくるんだ!一晩じゃ足りないのかな?
と、安直に考えた私は、寝かせる期間を変えて味の変化がどうなるか、実験をしてみました。
写真はないので結論だけ。
- 冷蔵庫で連続3日以上寝かせると、旨味が出て美味しい
- 冷蔵庫で連続7日程度寝かせると、食感が劣化した
- 冷蔵庫で3,4日寝かせる→冷凍庫保管→(食べる2,3日前から)冷蔵庫保管 ◀一番美味しかったパターン
旨味と共に、糸引きの強さもやや増すような気がします。
ヨーグルティアで納豆を作った人でも、旨味が足りないなと感じる場合は、冷蔵庫で寝かせる時間を増やしてみてください。
私流、納豆の作り方(写真付き)
お待たせしました。これまでの数々の失敗の上に成立した、私流の納豆の作り方をご紹介します。
でもはっきり言います。私のやり方は邪道です。私のやり方では、保温器代わりに炊飯器で納豆を作ります。
後述しますが、炊飯器で保温するのには、安全面でリスクがあります。内容器付きで温度設定可能な保温器を用意できるなら、絶対そちらの方が良いです。



これまで紹介した問題点を全て解決した、総まとめです。私の試行錯誤してきた知恵が詰まっています!
行程表


工程表から分かりますが、私流では発酵と熟成に時間がかかっています。
保温器と冷蔵庫で放置の時間が長いだけで、作業の手間がそれほど増えるわけではありません。
しかし、納豆を作って食べられるようになるまで、1週間ちかくかかります。
準備するもの
- 乾燥大豆(250g)
- 納豆菌 少量
- ジップロック 2~4袋
- 鍋
- 炊飯器
- タオル
まとめて作って冷凍庫へ入れるので、私は1回で乾燥大豆250g分の納豆を作っています。我が家の場合ですと、家族5人で2食分相当です。
250g以上をまとめて作りたいなと思いますが、我が家の鍋や炊飯器の大きさを鑑みるとこれが限界量かなと思いました。
1回で作る量は、ご家庭の鍋や保温器のサイズを考慮してくださいね。
初めて作る場合は、失敗する可能性も踏まえて、少なめ(80g~100g程度)から作ってみると良いですよ。
作り方
大豆を洗う
大豆表面に付着している汚れを、皮が破れない程度にゴシゴシ擦り合わせて洗う必要があります。
やってみないと加減が難しいですが、やりすぎると茹でたときに皮がめくれて浮いてきます。
硬水で洗う場合は、あまり吸水してほしくないので、ささっと洗ってすばやく水切りをします。
大豆を水に浸ける


日本で生活している人は水道水を使ってもらって大丈夫です。
私は、海外生活中、軟水を用意して、軟水に大豆を浸けていました。(我が家はブリタで軟水を作っていました。)
大き目の鍋やボウルを使って、お水はたっぷりと、浸水時間は一晩(約12時間)です。
大豆を煮る


中火でゆっくり温度を上げていきます。強火で茹でると皮めくれが激しく、アクも吹きこぼれます。皮とアクは、取り除きます。
圧力鍋を使う場合は、皮とアクの栓詰まりに注意してください。
一度圧をかけずに下茹でして、皮とアクを洗い流してから、再度軟水で圧をかけて煮直すことで、かなり軽減します。
それでも皮が浮いてくる場合は、重さのある落し蓋をするなど、栓が詰まらないような工夫が必要です。



皮と灰汁を取り除かなくても納豆は作れます。食感が悪くなるだけです。
3~4時間
- 私はいつも沸騰してから3時間はかかっています。冬は4時間になる場合もあります。
- 差し水をする場合は熱湯を使うと、豆の温度を保てますよ。
- 鍋底に豆がくっつくので、たまにかき混ぜてあげてください。
(圧がかかってから)10分 ※お使いの製品によって加圧時間は異なります。
- 急冷すると大豆に芯が残る場合があるので、自然冷却をお勧めします。
- 圧がかかるまで→加圧10分→減圧 なんだかんだ合計1時間はかかります。


納豆化すると茹で上がり時より硬く仕上がるので、やや柔らかめに茹でてください。
指で潰したときに、少しでも抵抗(芯)を感じるなら、もっと茹でる必要があります。
納豆菌液を作る
少量のお湯と納豆菌液を混ぜ合わせます。
- お湯の量は適当(小さじ1~2程度)でOK
- 納豆菌は、製品によって使用量が異なります。
- 目安量が書いてあるはずなので、そちらを参考に気持ち多めで。
- 少ないよりは多めのほうが、失敗しにくいです。
私は大豆の煮汁を捨てる前に、煮汁と納豆菌液をささっと混ぜ合わせています。(単に、手間の問題。)


私は粉末タイプの納豆菌を使っていました。開封後は湿度の低い冷蔵庫で密閉して保管します。
納豆菌には使用期限があります。その目安期限を守るのがベストです!そんなことは分かっているものの、海外生活していると気軽に納豆菌購入なんてできません。
私の使っていた納豆菌は、開封後1年半経つと、今までの使用量では納豆になりにくくなっていきました。納豆菌が弱まっているのかな?作るたびに粉末投入量を徐々に増やすことで解決しました。邪道ですが、困った時はお試しください。
納豆を作るときに注意したいのが、器具に付着している雑菌です。雑菌が混入すると、保温したときに雑菌が繁殖して異臭が発生します。
- 納豆菌液を作る容器や器具は、清潔なものを選ぶ必要があります。
- 私は、使いたい器具を少しの間大豆を茹でている煮汁に浸けて、煮沸消毒しています。◀ここら辺がズボラ
煮えた大豆の煮汁を捨て、すぐに納豆菌液をかけて混ぜ合わせる


雑菌の繁殖を防ぐために、煮汁を捨てて熱いうちに納豆菌液をかけて混ぜ合わせます。(この時に使う器具も、殺菌の為に予め煮汁に浸けておくと良いですよ。)
この時に、納豆菌液が容器や鍋底に残ってしまうため、納豆菌液のロスが発生します。



だから、「気持ち多め」の納豆菌を使うんです。この工程は手早く!


冷めないうちに、1食分ずつジップロックに大豆を取り分けます。我が家は250gで家族5人2食分です。
この時、ちょっとゆとりのある大きさを選ぶと良いですよ。(理由は後述)
大豆を保温する
さて、いよいよ保温です。


炊飯器の保温温度は納豆の最適発酵温度より高いです。
伝わる熱を和らげるために、厚手のタオル等を底に敷きます。


保温モードにして、大豆を入れたジップロックをタオルの上に置きます。
炊飯器の蓋は開けっ放しで、36時間前後保温しておきます。



夏場は30時間程度でいい感じに仕上がります
安全性能上、開けっ放しで長時間保温ができない製品もあります。お手持ちの炊飯器の性能を確認してください。
長時間の保温が火事に繋がる可能性は0ではありません。トラブルが発生しても即対応できるように、保温中は常に家に居ることをお勧めします。万一トラブルが発生した場合、当方はそれに関しての責任を一切負いません。
炊飯器で長時間保温するしないのご判断は、ご自身でお願いします。
《参考になりそうな記事一覧》※外部リンクに飛びます。



大豆の保温中はご飯炊けないの?
保温中、炊飯器を使いたくなったらオーブンで仮置き可能です!


私が炊飯器を使いたいときは、一時的にオーブンで保温しています。
設定温度は45度。3時間くらいは入れっぱなしに。間に1回は扉を開けて、庫内の空気入れ替え(酸素供給)してあげると良いですよ。
最低設定温度が60度の別のオーブンを使った時は、扉を半開きにして庫内の温度調節をしていました。
納豆保温中は、炊飯器の予約タイマーは使えないので、ご飯を炊く都度、大豆をオーブンで仮置きします。
大豆の中下層にも酸素を届ける
保温してそのまま放置していると、大豆の表面しか酸素が届かず、中下層の発酵がイマイチ進みません。そのため、中下層の大豆にも酸素に触れさせてあげる作業をたまに行います。


表面の大豆が少し茶色くなってきたら…


大豆を潰さないように、袋の外から優しく揉んで大豆の配置を変えてあげる。
この時、雑菌混入を防ぐために大豆に触らないこと。
これを気が向いたとき、保温中に何度か繰り返します。最初はそんなに頻繁にやらなくても良いのですが、保温時間終盤に向かうほど発酵が加速するので、保温時間24時間超えたら数時間おきにチェックしてください。



この時ジップロックにゆとりがあると、大豆を潰さずに配置換えをしやすいです
大豆の発酵にジップロックを使うと便利すぎるんです。
- 発酵中に衛生的に中下層にも酸素を供給できる
- 冷蔵・冷凍庫保管中かさばらない
- 食べ終わった後、ジップロックを捨てられる(ネバネバを洗わなくて良い)
ヨーグルティアで納豆を作るときも、ジップロックを使うと洗い物が減るのでお勧めです。
保温中の大豆の様子


保温12時間後の糸引きの目安は、1つの大豆から1本の糸引きが見えることです。でもまだ糸引きの力は弱くて、大豆同士が離れると糸が切れてしまいます。
保温して12時間経っても糸引きがほとんどない場合は、納豆菌が足りないので少量追加投入した方が良いです。
私はいつも直接、粉末納豆菌をかけて、優しく袋の外から揉んで混ぜ込んでいます。それでもちゃんと納豆になります。


保温24時間後の糸引きの目安は、1つの大豆から複数の糸引きが見え、かつしっかり糸が残ります。
この段階で粉末納豆菌を追加投入しても、私の経験ではなんとかなりましたが、保温時間が40時間に延びました。


保温温度が高すぎる、終盤に大豆の配置換えをやらずに放置しすぎると、こんな感じで表面の大豆が茶色くなります。
茶色くなった大豆は、食感がちょっと硬くなります。
茶色くなっても慌てずに、タオルを底に追加したり、大豆の配置換えを行えば、十分リカバリーできます。失敗ではないです。


保温36時間後は、少し大豆を動かすだけで、一層多くの太い糸引きが見えます。糸の強さも強く、しっかり残るため、全体的に蜘蛛の巣が張り巡らされたように見えます。
※写真は、見やすくするために容器に移して少し混ぜてあります。
どの程度納豆の糸引きができるかは、この保温工程で決まります。納豆を食べたときに



ちょっと糸引きが弱いなあ
と思われたなら、次回作るときは保温時間を延ばしてみたり、納豆菌投入量を増やしてみたりしてください。次回調整するために、保温時間毎の糸引きの状況をしっかりと確認しておくと良いですよ。
保温中に、納豆じゃない変な臭いがしたら、雑菌が繁殖している可能性があります。よく、’’雑巾の臭い’’という表現をネットで見かけます。
それは『失敗』です。勿体ないけれど、全廃棄してください。
発酵が上手く進むと、徐々にお部屋全体が納豆臭くなります。
保温中は換気扇を付けっ放しにする、キッチンの小窓を開けておく、たまに部屋全体の換気をするなど、対策を取ってくださいね。
発酵した納豆を最低3日間冷蔵庫で寝かせる
発酵が完了したら、室温まで冷まして、冷蔵庫で寝かせます。この時、ジップロックの口を完全に閉じないでください。
冷蔵庫で寝かせている間も、酸素が必要です。市販の納豆も、容器に細かい穴があいていますよね。



大豆が発酵過程で水を出すため、納豆下層がやや水っぽくなるのは普通です。もし気になるようなら、優しく袋の外から揉んで、大豆を混ぜ合わせてください。
発酵が終わった直後の納豆は『ただ納豆臭のする大豆』です。興味あれば一粒食べてみてください。不味いです。
それを冷蔵庫で寝かせることで、アミノ酸(旨味)が出て美味しくなります。
一般的に、冷蔵庫で寝かせる期間は『一晩』と言われていますが、私の経験上、それだと旨味があまり出ませんでした。
- 冷蔵庫で連続3日以上寝かせると、旨味が出て美味しい
- 冷蔵庫で連続7日程度寝かせると、食感が劣化した
- 冷蔵庫で3,4日寝かせる→冷凍庫保管→(食べる2,3日前から)冷蔵庫保管 ◀一番美味しかったパターン
旨味と共に、糸引きの強さもやや増すような気がします。
大豆を洗う工程から完成まで、私の作り方だと1週間はかかります。手間暇かかりますね…
慣れるまでは大変ですが、慣れてしまうとは茹でる工程のみ大変だなって思います。あとはたまに手を加えるだけで基本的には放置なので、楽ですよ。
家庭で納豆を作ることができると、海外でも美味しい納豆を食べ続けることができますね。
【番外編】納豆のタレ
納豆を手作りすると、タレも手作りする必要があります。タレは完全にお好みです。
私が作っていたタレのレパートリーをいくつか紹介します。タレ作りに困ったら参考にしてくださいね。
- 《王道》醤油(+出汁+砂糖)
- 《子ども達が大好きな組み合わせ①》刻みネギ+醤油+梅肉+白ごま
- 《子ども達が大好きな組み合わせ②》生卵+醤油
- 《さっぱり系》ポン酢(+醤油)
一味や胡麻油、からしを加えても、味のアクセントになって美味しいですよ。
味噌作りをしようと思っている人は要注意!
納豆と味噌を同時に仕込むのはNG!



実際に私がやらかした失敗です
納豆菌が強すぎて、同じ容器を使っていなくても同じ環境にあるだけで、麹が納豆菌に汚染されます。味噌を仕込んでも、カビが味噌表面だけでなく内部の至る所で湧いて、味噌にはなりません。全棄てです…
納豆菌の性質を解説している記事を見つけました。(外部リンクに飛びます)
味噌や醤油作りの職人が納豆を食べないのに、同じ空間で作ってたらそりゃ味噌カビますよね。
家庭では、同じ容器や調理器具で納豆や味噌を作らねばならないので、両者をかなりの期間を空けて仕込む必要があります。



どの程度あいだを空ければいいの?
明確な期間は調べても分かりませんでした。
私個人の経験でしかお話しできませんが、納豆を仕込んで2か月以上経った後に味噌を仕込んだら、ちゃんと味噌ができました。もちろん、使う調理器具は念入りに洗います。
そして、納豆菌と麹の保管場所を別室にして、さらに納豆菌は飛び散らないようにジップロックで密閉して保管するようにしていました。
手段はなんでも良いのですが、とにかく納豆菌とその他発酵系の菌(麹・イースト菌)とを引き離して保管する必要があります。



海外で発酵食品を食べられる機会が少ないので、自作できると嬉しいです!ちなみに、炊飯器で麴甘酒も作れます。炊飯器便利すぎる!
コメント
コメント一覧 (8件)
3年以上納豆を手作りしていますが、どこかに書いてあったのを「本当にそうだろうか」と確かめもせずただ引用して説明する記事が多い中、明らかに実体験に基づいていて、とてもためになりました。たとえば、「納豆は3日以上寝かせたほうがおいしい」というのは、どこにも書いてありませんが、確かにそうだと思います。
ちなみに、できあがった納豆を冷蔵庫保存するのではなく、常温保存したほうが美味しいことに気づき、常温保存しています。毎日味が変化していくし、複雑な旨みが出るように思います(ただし1月くらいから気づいてやっているので、夏だったらどうなるかわかりません)。うちは5or6 日に1回の頻度で作っています。3日目くらいからぐんと旨味がでますね。
質問ですが、「納豆菌を粉のままふりかけるのはおすすめしない。ムラが出るから」ということですが、私は今まで、粉のままふりかけて作るという人の説明を読んで、粉のままふりかけて作っていました。
しかし、この記事を読んで、「ムラが出るから」というのは理論的におおいにあり得ると思って、溶かしてふりかけるようにしました。
しかし、溶かそうが粉のままだろうが、ムラに全く差を感じませんし、むしろ、粉のままふりかけたほうが出来がいいように感じるのです。もちろん、溶かすときは納豆菌を増やしました。
「粉のままだとムラが出る」の実体験がありましたら、おしえていただけると幸いです
シルバーストーン様
コメントありがとうございます。シルバーストーン様も納豆作りに奮闘なさっているんですね!!
ご質問の件について、私の考えや体験談をお伝えします。
おっしゃるとおり、確かに粉のまま直接振りかけるほうが、ダイレクトに納豆菌を豆に届けることができるため、一度溶かしてから振りかけるよりも効果を得られやすいし納豆菌の消費量も抑えられて嬉しいですよね^^
実は…納豆菌をケチりたい私は、粉をダイレクトに大豆にかけることも試しています。ですが、失敗しています。
理由は、私の使っていた納豆菌粉末です。
私の使っていた納豆菌粉末はサラサラパウダーではなくダマになっていることが多く、上手く混ぜ合わせることができませんでした。
躍起になってしつこく混ぜ合わせていると、茹で上がったばかりの柔らかい大豆は潰れてしまいます。
本記事は、納豆作り初心者でも失敗しないように…という思いで書いています。
さらに、どんな形状の納豆菌粉末でも失敗する可能性を減らせるように、「溶かしてから」ふりかけることをお勧めしました。
発酵過程で糸引きが弱いようなら、追加で納豆菌粉末をダイレクトで投入することを記事内でも語っています。
粉末状態でも、豆をつぶさずにムラなく全体にふりかけられるのであれば、最初から粉末ダイレクト投入できると節約になっていいと思います!
長文にて失礼しました。
追伸:
私は納豆の常温保存をしたことがありません。子どものために作っていた納豆なので、間違っても食中毒を起こしたくなかったのです。少しでも雑菌を増やすリスクを減らすため、発酵終了後は冷凍庫または冷蔵庫で保管していました。(常温保存が良くないという意味ではありません。)
常温保存での複雑な旨味・・・気になります^^
クロミャー様、
経験に基づいた貴重な納豆造りの記事ありがとうございます。興味深く読ませていただきました。
2022年春頃より、アメリカでは納豆不足となっており、自家製を考慮してます。クロミャー様のようにジップロックを使いたいと思います。洗うの嫌ですもんね。発酵には、温調付き、ヨーグルトメーカーを使う予定です。さて質問ですが、
1−発酵中の納豆臭。雑菌増殖による悪臭でなくても、納豆臭は気になります。
2−ジップロックは発酵中は開けたまま、冷蔵庫で熟成中は閉める。でよろしいですか?
お教えいただければ幸いです。
イトウ様
コメント&ご質問ありがとうございます!
アメリカでは納豆不足なんですね…納豆が食べれなくなると辛いですね><; 早速、ご質問に回答いたします。 1:納豆臭について お気持ちとても分かります。特に夏場の発酵は、室内の納豆臭はヤバいです。 ・まとめて作って冷凍することで作る頻度を減らす ・発酵中は24時間最大限の換気 私はこれくらいの対応しかできませんでした。 ヨーロッパではアパート暮らしでしたが、幸いご近所から苦情が来ることはありませんでした。 2:ジップロックの口を密閉するか否か 発酵中は大口開けて解放。たまに優しく豆を潰さないよう、手でジップロック表面から中のお豆を動かして、酸素を豆全体に行き渡らせます。 冷蔵庫内では、完全に密閉せず、ほんの少しだけ開けておきます。熟成にも酸素が必要です。 大口開けておくと、庫内が納得臭くなるし、豆が乾燥してしまいます。 おいしい納豆作りに少しでもお役に立てれば幸いです^^
クロミャー様、早速のご回答ありがとうございました。
納豆はあの匂いで食べれなかったのですが、新コロの感染防止で、練習して食べれるようになり、今では毎日欠かせないほど好きになったのですが。やはり発酵中の納豆臭はあるんですね。躊躇してしまいますが、とりあえず、一度は作ってみようと思います。経過報告しますね。
イトウ様
アメリカで生活していると、日本食が恋しくなりますよね。
うまくいくことをお祈りしています^^
くろみゃーさま、
6月11日に納豆第一号の生産開始、本日15日、三日の熟成を終え、美味しく頂くことができました。
米国産の普通サイズの大豆と日本製納豆菌粉末を使用。小粒の大豆が手に入るといいんですが…。
くろみゃーさんのレシピに従いましたが、大豆は圧力鍋で蒸し、発酵には日本メーカーの発酵家電を使用。懸念していた発酵中の納豆臭はほとんどなく、完成品の匂いもこれって「無臭納豆」と思うくらいでしたが、本物の納豆でした。今後納豆飢饉が続くかどうか不明だけれど、バックアッププランがあるので、安心です。ジップロックを使うのは良いアイデアですね。
役にたつ情報のご提供ありがとうございました。
イトウ様
レポありがとうございます!
うまくいったんですね!よかったです!
やはり、ちゃんとした発酵家電があると温度も安定するので失敗の可能性が減るし、蓋もついているので発酵中の臭いも酷くならないのでしょうね^^
納豆手作りは手間はかかるけど、納豆食べたい欲は止まらないですよね。納豆飢饉、早く収まりますように…